「ロータリーエンジンは高温だ!」と言われる本当の原因

「ロータリーエンジンはレシプロに比べて高温だ!」とよく言われています。

 

おそらく、RX−7やRX−8に乗っている方ならば、1度や2度「高温だ!」と

聞いたことがあるのではないでしょうか?

 

しかし、これまで多くのチューニング雑誌やインターネットの情報など

様々ありますが・・・、

 

「何が原因してロ−タリーは高温なのか?」と言うことは、

ほとんど公表されてはいません。

 

実際、ロータリーに乗っているあなた様も「高温な原因」を即答できないと思います。

多くのプロやロータリー専門ショップの人も、その明確な答えは即答できないはず。

 

では、何が原因してエンジンを高温にさせているのでしょうか?

 

ここでは、その原因を分かりやすく明確に解説していきます。

 

 では、まず、あなたは・・・

 

ロータリーエンジンとレシプロエンジンの大きな構造上の違いをご存知ですか?

 

実はこの「大きな構造上の違い」こそが・・・、

 

ロータリーエンジンは温度が高いとか

ロータリーはレシプロよりブローするのが早い

ロータリーは弱いエンジンだ!

 

などと、昔から言われ続けてきている“真相部分”であり、

且つ、エンジンの寿命を左右している非常に大切な部分でもあるのです。

 

 ロータリーエンジンとレシプロエンジンの形が違うことはご存知でしょうが

本来は、構成部品の形や名前が違っていたりするだけで、おおよその役割は同じです。

 

例えば、三角型の「おにぎり」などと呼ばれているローターは、

レシプロなら「ピストン」に値するものです。

 

レシプロでは、燃焼室内部でピストンが上下に動くことで、

混合気(空気と燃料が混ざった気体)が圧縮→爆発→膨張と一連の作用によって

エンジン動力となっています。

 

ロータリーならば、ローターが回転することで、ローターの側面にある

凹み部分が燃焼室になり、やはり混合気が圧縮→爆発→膨張と作用して

エンジン動力になっています。

rotar02.jpg

    ローターの燃焼室の画像

 

このように、全く形や部品名は違いますが基本的には、そんなに変わりはありません。

また、エンジンだけに限らず補器類も大差はありません。

 

が・・・、やはり決定的な違いがあります!

 

それは・・・、

 

エンジンの熱を吸収して放熱させている冷却システムが

レシプロとロータリーでは決定的に違うことです!

 

その大きな違いは・・・、

 

レシプロエンジンの場合、燃焼室があるシリンダヘッド内は、

冷却水が入る 「ウォータージャケット」と、エンジンオイルが入る部分があり、

その両方でエンジンの熱を吸収して放熱しています。

 

これに対して、

 

ロータリーエンジンは、エンジンの外周に冷却水が入るウォータージャケットが有り、

エンジンの中心部分にエンジンオイルが入る部屋があって、熱を吸収して放熱しています。

water_jacket01.jpg

engine.jpg

 指の部分や楕円形のような形をしたハウジングの外周にある大小様々な部屋が

 「ウォータージャケット」でこの部分に冷却水が入ってエンジンの熱を冷却水が吸収してくれている。

 

 rotar_danmen.jpg

三角型のローターの内部に9個のオイルが入る部屋があり、ここにエンジンオイルが入って

エンジンの熱を吸収している。(下手な手書きの図で恐縮です・・・)

 

上の図の通り、繰り返しになりますが、ロータリーエンジンは、

外周が冷却水、中心部がエンジンオイルによってエンジンの熱を吸収しています。

 

と言っても「何がレシプロと違うの?」と思われていることでしょう。

 

その違いは・・・、

 

レシプロの場合は、冷却水とエンジンオイル同士が隣接した部屋で

一緒にエンジンの熱を吸収している。

 

ロータリーの場合は・・・、

外周が水冷、中心部が油冷とそれぞれの油脂が離れて、

要するに分離してエンジンの熱を吸収しており、

レシプロのように油脂類が隣接して同時に熱を吸収していない

ことが決定的に違うのです!

 

このレシプロとは違ったロータリーの「分離型」とも言える冷却方法が、

エンジンの熱を吸収する上で大きな違いを生じさせています。

 

それは、例えば・・・・

 

アッツアツの食べ物を冷やすとき、息をフーフーっと吹きかけながら、

その真横でウチワでパタパタと同時にあおげば、早く温度は下がります。

(そんなことする人はいないでしょうが・・・例えばです!)

 

でも、フーフー息を吹きかけて、離れたところでウチワであおいだ場合は、

真横でウチワであおいでいる時より、温度の下がりは鈍くなります。

 

このように、温度を下げるための物が隣接して同時に冷やすのと

離れて冷やすのでは、温度の下がり方に大きな違いが生じます。

 

これと全く同じで・・・、

 

冷却する油脂類が離れている構造のロータリーエンジンは、

レシプロに比べると温度が高いのです!

 

もう少し言うと・・・

この分離型の冷却方法だから、油脂類への負担も大きく水温や油温も厳しいのです。

 

要するに・・・

 

“エンジン温度が高い→油脂類の温度も高い→だからエンジン温度が高くなる”

 

といった具合に、悪のスパイラルのようになってしまうのです! 

 

と言うと、何だか「エンジン温度は敵」のように思えますが、

 

この冷却構造は、小さなエンジンなのにハイパワーのクルマに負けない走りができる

ロータリーエンジンでは、より大きな熱量が発生しないと、より大きな駆動力が

生まれないので、実は、非常に合理的なシステムとも言えます。

 

しかし、皮肉にも、この冷却システムこそが、

エンジンの寿命を縮める要因となってしまっています。!

 

エンジンと言うのは、“繰り返す高温”によって

徐々にエンジンの構成部品が「ゆがんだり、そったり」 といった変形が

大きな原因となって壊れてしまうことが多いのです。

 

もちろん、RX−7やRX−8は車重が軽いとは言え、

1トンを超える重いクルマがスムーズに動いてくれるのは

エンジンの熱のおかげですが・・・、

 

いずれにしても、このエンジンの熱が壊れる最大の原因であるので、

 

クルマが駆動できる熱量の妨げにならない=オーバークールにならない程度に

“エンジンを常に冷却してあげる”ことが、エンジンを長寿にする重要点です。

 


◆次は、第3章RX−7のFD3SやRX−8の困った冷却システム をご覧ください。