「燃焼室に圧縮された混合気(空気と燃料が混ざった気体)に
プラグで点火させて爆発させる」といった働きです。
これは、ほとんどの方が知っているでしょうが、
ロータリーエンジン燃焼室に出ているプラグは、
一体どうなっているのかご存でしょうか?
ここでは、ロータリーエンジンに特化して解説しているので
ロータリーの構造だけになるりますが、
燃焼室内に出ているプラグとの関わりを知ることが、
プラグの正しい知識を身につけるにあたって非常に大切で
重要なことなので解説しておきます。
まずは、 ロータリーエンジンの燃焼室にプラグは
一体どのように出ているでしょうか?
実際の写真と、手書きの体裁の良い図ではありませんが見てください。
いかがでしょうか?
写真の方は、誰でもお分かりの通り、
燃焼室内のプラグの電極面の穴の大きさが全く違います。
そして、手書きの方の図は(良く見ないと分からなくて申し訳ない)
プラグの電極面が両方共に燃焼室に直接的に顔を出さずに、
引っこんでいる状態なのが分かります。
この形状は、RX−7もRX−8もロータリーなら共通です。
これは、一体どうしてなのか?
まずは、何でプラグが燃焼室に顔を出さずに引っ込んでいるのかは・・・、
ローターの回転によってガス等の漏れが起きないように
気密度を保っている3か所の頂点にある
アペックスシールとプラグが接触しないようにしているからです。
次に、ローターハウジング内のプラグの穴の大きさの違いが
なぜ違うか?解説します。
まず、プラグの点火順番ですが・・・、
ローターの回転方向は常に「時計回りの右回転」で、
最初に点火するのは、リーディング側(下側)の方で、
やや遅れてトレーリング側(上側)が点火します。
この点火順は、どんな時も同じですが
「点火のタイミング(点火時期)」は、様々な運転条件で変わります。
※点火タイミングは、吸気容量を司っているスロットルボディの後ろにある
「スロットルセンサー」がアクセル状態を計測してコンピューターに送って、
点火のタイミングを変えている。
(こういった点からも、スロットルボディが正しく動くようにすることは重要だ。)
それは、発進時や坂道を走る時や平らな一本道を走る時など、
クルマにかかる負担などが刻々と変わるから、
常に同じように点火して、常に同じ爆発力では、
力不足の時もあるし、そんなに力が必要ではない時もあるからです。
用は、この「常に変わる運転条件で爆発力を変える必要がある」から
プラグの穴の大きさも変えています!
また、1つの燃焼室に対して2本のプラグがありますが、
このうち主導件を握っている方のプラグは、リーディング側です。
リーディング側は、最も混合気が圧縮され、
ガス濃度も最も濃い状態の中での点火をする方で、
シッカリとした爆発をさせるために存在しているプラグなので
常に強い点火を要求されているので、プラグの電極面も
トレーディング側よりかなり大きいプラグホールとなっているのです。
ですので「トレーリング側」は、補佐的なプラグと思ってもらえば良く、
よってプラグのホールも小さいのです。
しかし、低速〜中速時などは、
重いクルマを動かし始めたり、坂道を上る時など「より大きな力」を必要とするので、
ほぼ同時に近い状態でトレーディング側も点火することにより、
爆発威力を大きくすることで負担がのしかかるクルマをスムーズに動かしています。
このようにトレーリング側のプラグは、補佐的な物ですが、
点火タイミングによって爆発威力を変える大きな役割も果たしています。
さて、次に、中速〜高速時の話をしましょう。
中〜高速域になると、
クルマは、完全に「動きと走り」が共に「波に乗っている状態」なので、
低〜中速域になる時ほどの大きな力は要らなくなります。
簡単に言えば「余力で動いている状態」となるので、
トレーリング側のプラグは、さらに補佐的になります。
なので、トレーリング側の点火のタイミングも
低〜中速域になる時よりも、 緩やかになって
「最後に肩を少し押してあげる程度の力で十分」になりますが・・・
これが、リーディング側のようにトレーリング側も大きなプラグの穴で、
早いタイミングでどんどん点火すれば
過剰な力によってエンジンダメージにつながるので、
中〜高速域でも、プラグの穴が小さい方が良いのです。
いずれにしても、プラグの穴の大きさと点火タイミングがかみ合って、
爆発力をコントロールしているのです。
少々複雑な話しでしたが、このような話をすると頭デッカチになって
“何にもしない評論家”になってしまう傾向があり、
それでは、愛車が快調にならなくては無意味なので補足しますが、
ここまで解説したプラグの作用が正しく機能するのは、
「あくまでも、良好な爆発条件が整っている上」ということで、
結局は、あなたご自身が愛車をきちんとメンテナンスしなければ、
正しい機能は有り得ないことを忘れないでください。
尚、サーキット等で激しい走行をする人は、
速度域が目まぐるしく変わるので、点火の上でも厳しいので
常にベストコンディションを保てるようにすることが何より重要になります。
◆次の第3章「ロータリーエンジンとプラグの負担の関係、劣化、熱価数について 」を
読まれたい方はコチラから!